まちづくりとは、市民(当事者、ユーザー、住民)の立場から束ねられる協働の営為です。多様な感性・知性を横断する姿勢を持ち合わせながら、自然環境を含めた風景という広がりの中で、他者と共に生きる手段といえます。とりわけ、国や自治体の制度を基調とした社会福祉分野は、制度の狭間やタッチポイントに課題が生じやすく、当事者の切実なニーズに対応できていない事例が少なくありません。また、消費者の行動変容を目的として発展してきたコミュニケーションデザインの技術/思考を、企業活動の文脈だけでなく、市民の権利と意思が前提となる地域社会の中で実装していくためには、相応の倫理性が必要です。そうしたことを学び、実践しながら、社会的に孤立し、生きづらさを抱えた方々を支えるインクルーシブなデザインのあり方を一緒に追究していきましょう。
田北 雅裕
- コミュニケーションデザイン
- まちづくり
- 子ども家庭福祉
まちづくりを「社会的に孤立している人の関係や事象を、まち(地域社会・環境)という中間領域にひらき、支えること。また、居合わせた人たちと共に、日々の暮らしの課題を乗り越え、次の世代に希望をつないでいく実践」と定義し、実践・研究・教育に取り組んできました。現在は、「人と人との間を補う技術」としてのコミュニケーションデザインの技術・思考を基礎としながら、社会福祉士の立場も活かしつつ、主に子ども家庭福祉の現場において、多様な関係者と協働しながら課題を乗り越えていく実践および研究に重きを置いています。