五十嵐 伸吾
Schumpeter(1912)は、新規に創業した独立系の企業(スタートアップ)にイノベーションの担い手との役割を与えた。それ以降、スタートアップは、既存企業に対して競争圧力としてはたらき、市場効率化を促進する役割を果たすイノベーションの源泉の一つと考えられている。現実にテスラ、Uber, Facebook に代表されるように成功したスタートアップは、世界的企業に成長を遂げたばかりではなく、一国の経済・産業をリードする存在になっ
ている。一方、近年、「ベンチャー」を社内に取り込み(一般に、「コーポレート・ベンチャリング」と称される)、あるいはスタートアップへの投資を専業とするベンチャーキャピタル(VC)を企業が運営する(コーポレート・ベンチャーキャピタル:CVC)の設立も活発化している。これは企業内でいかに企業カルチャーを変革し社内から破壊的なイノベーションを実現するかを模索する手段である。
本講義では、「少ない経営資源で如何に事業を立ち上げるか」について議論することによって、新規事業の立ち上げに際するマネジメント能力の向上を目指す。