QBS・QREC科目紹介 Introduction of QBS/QREC courses

ベンチャー企業 (QBS)

五十嵐 伸吾

Schumpeter(1912)は、新規に創業した独立系の企業(スタートアップ)にイノベーションの担い手との役割を与えた。それ以降、スタートアップは、既存企業に対して競争圧力としてはたらき、市場効率化を促進する役割を果たすイノベーションの源泉の一つと考えられている。現実にテスラ、Uber, Facebook に代表されるように成功したスタートアップは、世界的企業に成長を遂げたばかりではなく、一国の経済・産業をリードする存在になっ
ている。一方、近年、「ベンチャー」を社内に取り込み(一般に、「コーポレート・ベンチャリング」と称される)、あるいはスタートアップへの投資を専業とするベンチャーキャピタル(VC)を企業が運営する(コーポレート・ベンチャーキャピタル:CVC)の設立も活発化している。これは企業内でいかに企業カルチャーを変革し社内から破壊的なイノベーションを実現するかを模索する手段である。
本講義では、「少ない経営資源で如何に事業を立ち上げるか」について議論することによって、新規事業の立ち上げに際するマネジメント能力の向上を目指す。

起業機会探索(QREC/QBS)

五十嵐 伸吾

本講座は九州大学ロバート・ファン / アントレプレナーシップ・センター(QREC)が提供する(QREC での科目名は「技術系アントレプレナーシップ(特論)」)。近年のアントレプレナーシップ研究では「起業プロセス」への関心が高まり、中でもプロセスの発端となる「起業機会」の発見(あるいは創造、認知)とその機会をどのような形でビジネスに翻訳するかが注目を集めている。マーケット・プル(市場主導型)とテクノロジー・プッシュ(技術主導型)の事業創造が存在するが、テクノロジー・プッシュは対象とする市場を選択やその市場を形成するプロセスに体力を要するが一方で、事業の知的財産権(例えば特許)
などを駆使することで、競争優位を確立することは容易である。近年、MBA ホルダーには、アイデア(知的財産化前の発見や発明)をどのようなビジネスとして翻訳し商用化していくのかのニュービジネスクリエーション(新事業創造)のスキルが強く求められている。本授業ではテキストとケーススタディーでこれを学ぶ。

企業戦略(QBS)

目代 武史

企業戦略の役割は、企業の中長期的な目標を実現するために整合的な企業行動をとるための指針を示すことにある。本講義では、戦略の概念と理論、戦略形成の手法とプロセス、戦略が機能する論理について学んでいく。また本講義では、レクチャーを通じた基本理論の習得に加え、ケースメソッドによるクラス討論を通じた戦略的思考の涵養を図っていく。

イノベーション・マネジメント (QBS)

永田 晃也

イノべーションとは、新たな価値の創出をもたらす「革新」である。労働および資本ストックという生産要素の投入による成長が限界に直面している今日、持続的な成長を追求する企業にとってイノべーションへの組織的な取り組みは不可避の課題となっている。本講義では、イノベーションのマネジメントに要する基礎知識並びに問題発見・解決能力を習得することによって、成長戦略の立案に不可欠な素養を得ることを目的とする。

産学連携マネジメント(QBS/QREC)

高田 仁

本講義では、近年注目を集めている産学連携について、その目的や意義、効果などについて学ぶ。具体的には、国内外の具体的な事例を取り上げながら、萌芽的段階にある科学技術の事業機会を評価し(Idea Evaluation)、事業化のポイントを理解するとともに、実務的に求められる知財のライセンス契約・共同研究契約等の実践的知識、各種シード技術情報の獲得手法、産学連携スキームの構築手法、利益相反のマネジメント手法などを習得し、産学連携を成功に導くスキル修得を目指す。また、QuickLook と呼ばれる科学技術商業化ツールを活用し、大学や公的研究機関が保有するシード技術にもとづく事業機会の評価(Idea Evaluation)や市場参入戦略立案の演習を行う。

コーポレートアントレプレナーシップ特論 (QREC/QBS)

玉置 浩伸

社内起業、オープン・イノベーションによる新規事業開発および組織内におけるベンチャー・キャピタル型新規事業投資(コーポレート・ベンチャー・キャピタル:CVC)に必要な基礎知識を座学およびケース・スタディ(英文教材も含む)を通じて学ぶ

アントレプレナーシップ・組織論応用(QREC)

黒木 正樹

企業、公的機関、NPOに限らず事業規模を拡大し、かつ、高い効果を達成するためには「組織的」な運用が不可欠となる。しかも、組織の誕生期には経営資源、特に人材は少数しか確保しえないが、組織の成長とともに組織の構成員に求められるもの、あるいは構成員のタイプは変化が必要となり、また、組織を運用する方法自体も変更しなければいけない。このような少人数から大きな人数まで、どのようにチーム(組織)を立ち上げ、そのチームを運営していくかを学ぶ。

ベンチャーファイナンス(QREC)

玉置 浩伸

ベンチャーの立ち上げおよび成長過程の資金調達に関する理論を習得すると同時に、一部株式公開や事業売却に関する実務的な内容にも触れる。投資家、起業家それぞれの立場から起業機会(事業価値)を評価し投資する、もしくは投資を受けることができるようになることを目標とする。教材として、教員作成の教材 ・ 演習問題に加え、世界のトップピジネススクー ルで活用されているケース(英文)を使用する。また、実務家によるゲスト講師も予定する。

テクノロジーマーケティングゲーム(QREC)

山田 裕美

高性能であればあるほど製品が売れる、とは限らない。顧客の今の要望に合わせてばかりでは革新的なイノベーションに手をつけられない。市場に受け入れられる性能、価格等を適切にバランスさせて初めて売れる商品となり、その上で“市場の半歩先”を行くことで初めて新たな市場を切り拓くことができる。
本講座では、仏国の名門ビジネススクールINSEADで開発された経営シミュレーションゲームを用いて、製品開発から販路の選択、価格の決定、人事配置、広告戦略等にわたる多彩な意思決定スキルをグループワークを通して実践的に習得することを学習目標におく。