‘Business as usual’とは、深く考えずに前例を踏襲することを表すフレーズです。
産業革命以降、このような態度で様々なモノや仕組みのデザインが行われ続けた結果、今や１００万種が絶滅の危機を迎え、大気や環境汚染により年間９００万人がなくなっていると推定されています。これは明らかに戦略無きデザインです。一方、世界的に環境意識が高まる中、サーキュラーデザインなどに代表される新たな循環経済に向けた方法論も確立されつつあり、非常にワクワクする時代でもあります。 SDコースが今後、’Business as usual’から抜け出し、これからのエコシステムを戦略的にデザインしていく意思のある人々が集まり、共に考え、行動し、成長する場となっていくことを望んでいます。特に生態系を見据えて設計を行う「高次のデザイナー」に必要な、ホリスティックな指向性を養うことに寄与したいと考えています。
稲村 徳州
- デザインエンジニアリング
デザインとエンジニアリングを横断するデザインエンジニアリングを専門とし、学際的なアプローチからイノベーションを起こす仕組みの研究、国際的な連携を通じて、サステナブルな価値を生み出す教育・研究プロジェクトを進めています。近年の私の研究ではポスト人間中心デザインが重要なキーワードです。人間社会の課題に集中したあまり、地球の生態圏を構成している人間以外の命との関係はデザインされているとは言えません。多様な生命を包摂したデザイン方法論を確立することが豊かで持続可能な未来を築くために必要だと考えます。このような研究に必要な大きな社会の仕組みのスケールの視点から個々の創造性や心の在り方、身体性を行き来する越境的研究に取り組んでいます。