プロジェクト Project

修理する権利(Right to Repair)

みなさんはスマートフォンやタブレットを自分で修理したことはありますか? 私は自分のものを修理したことはありませんが、とあるイベントでiPadを分解するという体験をしました。写真はその時のものです。これがなかなか難しく、特殊なツールなども必要で、何かの助けがなければ、修理は困難だと体感しました。「修理する権利(Right to Repair)」というのは、修理に関するさまざまな制度的な障壁を取り除いて、こういった修理をよりやり易くしよう、という考え方です。

やや専門的に説明しますと、循環経済(Circular Economy)の観点から、短いサイクルで電化製品等の買い換えを促す商慣行に対して問題意識がもたれています。このような商慣行は、製品の設計、契約及びメーカーの持つ知的財産権を背景にしています。これに対して、米国や欧州では「修理する権利」によって電化製品等をより長く使う取り組みが進んでいます。
「修理する権利」について、法律上の定義はありませんが、研究者の間では、「製品が故障して廃棄する前にその製品をどうするかを決める権利」などと、ユーザーのエンパワーメントとして定義されています。もっとも、関連する法政策は多岐にわたり、米国や欧州は、製品の修理可能性を担保するよう、 商慣行、製品の設計、契約及び知的財産権をそれぞれ制限しています。
では、日本はどうするかということで、このようにさまざまな問題が関わるため、分野横断的な法政策の検討を必要としていると思います。より具体的には、「修理する権利」という既存の法政策にとって外在的な価値をどのように考慮すべきかが本質的な問題だと考えており、「修理する権利」の各分野への内在化についての検討、とりわけ、どのように内在化するかについての検討が必要となるのでしょう。
こう言うと難しいのですが、たとえば、ごく簡単に図示すると、イノベーションを促進するということと、環境を保護するというのは衝突することがあります。これを法律の言葉で表現すると知的財産法において「修理する権利」のムーブメントをどのように取り込むか、という課題となるわけです。こういった観点から、私はこのプロジェクトを進めております。

このプロジェクトは、2022年度からは公益財団法人旭硝子財団人文・社会化学分野 サステイナブルな未来への研究助成(提案研究)、2025年度からは環境省・(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(体系的番号:JPMEERF20251RB2)により実施しています。